2014年3月8日土曜日

J1第2節 徳島ヴォルティスVSセレッソ大阪

  今年(2014年)のJリーグを盛り上げるタレント集団セレッソ大阪。生え抜きの選手が主力を構成しながらも日本代表に次々に選ばれるクオリティ。しかも選んでいるのがザッケローニ監督なわけですから説得力がある。一流の外国人選手をベンチに押し出し同年代の若手選手が前線と中盤にぎっしり。

  さぞかしチームワーク優先のチーム編成なのかと思ったのですが、試合を見て印象は一変しました。チームとしての完成度は案外・・・いや恐ろしく低い。期待度が高すぎたのだろうか?確かに個人個人の能力は高いが、ほぼ全員がボールの近くでしか本気を出していない。遅い攻撃でも個人の能力を頼ってこじ開けようとするのだけど、相手だってプロとしてやっているのだから、何度も同じように抜かれたりはしないわけで・・・。

  オランダ代表のロッベンなんて数的優位が作られない限り本気なんて出さない。それなのに南野拓実は若いというのもあるだろうけど、わざと難しいプレーをしようとする。ある意味でプロフェッショナルな姿勢なのかもしれないけど、これでは伝説の「妖精さん」の現役時代みたいなものだ・・・。実力に見合ったものは勝ち取れないだろう。

  徳島凱旋の柿谷曜一郎は体調がいまいちのようで、いつもの集中力が影を潜めている。徳島時代の柿谷なんて大して怖くはなかったし、何かをしたイメージもないのだけど、勝てば官軍とばかりに代表まで登り詰めれば、古巣も大歓迎するのだろう。まあこの人はスターになってもJ2の試合を「ポカリ」まで見に行くなど愛されるキャラらしいが。

  セレッソの最大の大物プレーヤーはGKのキムジンヒョンかもしれない。抜群の安定感だ。Jリーグでてっとり早く勝ちたかったら、屈強な韓国人選手を補強してチームの主軸にするのが一番だろう。もちろん日本人選手に頑張ってほしいのは間違いないが、フットボーラーという「花形職業」によりリアリティと野望を持っているのが韓国人プレーヤーなんだと思う。ユンジョンファンやキムボジョンに苦しい時期を支えられた経験を持つセレッソはこの事が良く分かっているのだろう。

  そんなことを考えていたら、途中交替で奇才ドリブラー・楠神順平が出て来た。今のセレッソみたく個人プレーの大渋滞を起こしてしまうチームでは彼は輝けないだろうな・・・。カモメッシこと斉藤学や浦和の原口元気などキレのあるドリブラーは珍しくないけど、この楠神が持つ緩急自在のドリブルーはどこかロッベンの匂いがする。普段は存在感を消しているのに、チャンスを見るや全速力で仕掛けていって決勝点をもぎ取るプレースタイルには痺れる。セレッソみたいなオールスターチームではなく、もっと戦力が整っていないチームで救世主となれる逸材だと思うのだけど・・・。



   ↓世界に通用する!って自己評価が高すぎじゃないですか?
  

J1第2節 アルビレックス新潟VSガンバ大阪

  米倉恒貴がスタメンと聞いて、ワクワクしながらスカパー観戦。ガンバは佐藤晃大と倉田秋の2トップ。この2人がまだまだコンビ結成間もないこともありチグハグ。どちらも積極性がない気が・・・。2列目右に米倉、左に遠藤保仁・・・左右で別々の「オレ様」キャラを展開。どちらも視野が広くて球離れの良さが持ち味だったりするので、酷使される周囲の選手はちょっと大変ですね。

  ガンバはゲームプランとして新潟の前半の攻勢をいなし、後半に選手交替から勝機を見出す構えで、何としても開幕2連敗は避けようという狙いが見える。案の定、米倉も遠藤も孤立し人数をかけないサイド攻撃も散発的で、時たま今野泰幸が見せる速い縦パスくらいが有効なジャブ。それでも後半に入り、右SBの加地亮が攻撃に参加するようになると米倉のプレースピードが上がり、倉田との好連携からチャンスを次々に演出。遠藤が中央にポジションを移すと、前線からのプレスで奪って、遠藤から楽々右サイドを駆け上がる米倉の鼻先に絶品の「3D」パス!なんて流れる展開も出てくる。

  まるで日本代表の好調時のようなタイミングでの攻撃。これにハンター宇佐美が復帰すれば、J1の頂点を狙えるミラクルフットボールが完成するかもしれない。大変なのは攻撃局面で常にボールに近い位置に顔をださなければいけない倉田。それにしてもよく走ってますね、この人がガンバの攻撃の生命線なのかもしれない。米倉サイドから徐々に新潟ゴールに迫るガンバ。新潟の左SBキムジンスも将来有望で攻守にセンスのある韓国期待の若手。前半こそは良く抑えていたが、後半になると運動量が落ちる。フィジカルモンスター米倉とぶつかり合ってたらそりゃ消耗もするだろう。

  ここでガンバ長谷川監督は、FKから先制した局面からタイミングを見計らって、米倉のポジションに若手の大森晃太郎を投入。この大森という選手は若いのに動きにムダが無く、効果的な攻撃を繰り出す。米倉とはいろいろな意味で異なるタイプなので、動きが全く違う。これでは新潟DF陣も一気に無力化して大森&倉田にズタズタにされ始める。これは完全にガンバの作戦勝ちだ。新潟もレオシルバが孤軍奮闘するも、後から出てくる鈴木武蔵やホージェルガウーショが無謀なドリブル突破を繰り返すだけで、攻撃の効率が明らかに低下して勝負あり!でした。



2014年3月2日日曜日

J1開幕戦 ガンバ大阪VS浦和レッズ

  ガンバ長谷川監督と浦和ペトロヴィッチ監督。どちらもJリーグは興行なのだということをよくわかっていて、個性的なチーム編成を行う監督なので、誰がスタメンなのかを見るだけでも十分に面白いです。ゲーム自体がそこまで面白いかどうかはまた別の問題ですが・・・。

  日本代表の遠藤をFWに据えるガンバ。この理由はすでにいろいろと推論が行われていますが、結論としては日本代表の中核になる選手は圧倒的にサッカーセンスに恵まれているからなんでしょうね。ただそれは遠藤の能力だけの問題ではなく、同じく代表の今野のガンバでの起用位置がボランチになっていることにも関係しているようです。

  J1のトップクラブでレギュラーを張るDFなら日本代表のDFと守備力に大きな違いはない。その中でもとりわけ日本代表に選ばれる選手というのはプラスαの能力が備わっている。代表のCBを務める今野はガンバではボランチで起用される。それはガンバのチーム事情としてCBには今野選手の代わりになる選手がいるのだから、サッカーセンス溢れる今野選手をもっと攻守でボールに絡む位置に置いた方が得だという判断だろう。フランスのデシャン監督を絶望の淵に追い込んだ、怒濤の高速ドリブルは凄かった。あの「俊足マフィア」のリベリーに影さえ踏ませなかった、今野・長友・香川の激走カウンターは記憶に新しい。

  今野選手と遠藤選手がボランチでコンビを組むとやや非効率な面もあるようです。ガンバでも圧倒的にクリエイティブな2人が近い位置でプレーすれば相手にとって逆に守りやすくなるのですよ。この2人は能力の高いマーカーを背負うと結構平凡なプレーに終わることが多い(誰でもそうですが)。それならばいっそのこと2人を離した方が、それぞれの卓越した戦術眼でチャンスにことごとく絡む動きだしが生きるようです。

  そして何より遠藤を前線で使うメリットは、天才的なダイレクトプレーでゴールを量産し再びガンバの絶対的エースになった宇佐美の存在でしょうか。宇佐美の凄さは姿勢の良い高速ドリブルから局面を1人で打開する派手なプレーにばかり目がいきますが、パスを貰う動き出しとフィニッシュの精度も格別。今となってはセレッソの柿谷よりもスケールの大きいプレーヤーです。J2時代の柿谷とくらべれば昨年の宇佐美は圧倒的でしたし。

  ガンバのことばかり書いてしまいましたが、レッズはACLを逃したせいか日本人ばかりを揃えたチーム編成です。この中からブラジルへ行く選手が正直見当たらないくらいに、見ていて小粒なんですよね。もちろん全員技術は高いのは分かるのですが、ガンバの藤春や大森のような代表で見てみたい選手がいない。ペトロヴィッチ監督のチームはいつもこんな感じかも。浦和に引き抜かれる選手に代表候補はいない・・・。いやまった!代表正GKも狙える西川が今日は安定感抜群でしたね。